プレスリリース

セメントの約80%を高炉スラグ微粉末に置換した環境配慮型コンクリートを共同開発~製造時のCO₂排出量約8割削減~

2024年4月24日

UBE三菱セメント株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小山誠、以下「当社」)は、清水建設株式会社(本社:東京都中央区、社長:井上和幸)と、セメントの約80%を高炉スラグ微粉末に置換した環境配慮型コンクリート(以下「本コンクリート」)を共同開発しました。本コンクリートは、鉄鋼製造時の産業副産物である高炉スラグ微粉末を混和材として活用するもので、製造時のCO₂排出量を一般的なコンクリートと比べて約8割削減できます。性能面でも、セメントや添加材料を最適化したことで、優れた温度ひび割れ抵抗性を実現しました。

【本コンクリートの特長①CO₂削減】

脱炭素社会の実現に向けて、建設業界では主要建材であるコンクリート由来のCO₂排出削減に向けた技術開発が加速しています。そうした取り組みの多くは、製造時に多量のCO₂排出を伴うセメントの使用量削減に主眼を置くもので、セメントの代替材料として高炉スラグ微粉末やフライアッシュが主に利用されています。高炉セメント※1の高炉スラグ微粉末の混合率はJIS規格で最大70%と規定されていますが、本コンクリートは、当社が新たに開発した、低炭素型セメント・コンクリートの基礎技術を適用したことで、高炉スラグ微粉末をセメントの80%程度置換することが可能です。コンクリート強度を33N/mm2で設計する場合、普通コンクリートでは製造時に295㎏/m3のCO₂を排出しますが、本コンクリートでは約8割減の69㎏/m3に留めることができます。

【本コンクリートの特長②温度ひび割れ抵抗】

一般に、高炉スラグ微粉末を多量に用いたコンクリートは、発熱量を抑制できる一方、自己収縮が大きく、温度ひび割れが生じる場合があります。本コンクリートでは、ポルトランドセメントと添加材料の組み合わせを最適化し、コンクリート調合を調整することで、自己収縮を高炉セメントC種と比べて大幅に抑制しています。また、フレッシュ性状と強度についても、普通コンクリートと同等のレベルを維持しています。

240419_01.png

本コンクリートのCO₂排出量の低減

240419_02.pngスランプ試験の状況

当社は、中期経営戦略「Infinity with Will 2025 ~MUCCサスティナブルプラン 1st STEP~ 」において、地球温暖化対策を当社グループの最重要課題の一つに位置づけ、カーボンニュートラルに向けた2030年中間目標と事業戦略を策定し、脱炭素社会の実現に向けた研究開発に取り組んでいます。環境配慮型コンクリートの開発は、当社が進めてきた取り組みの一つで将来に幅広いユーザーへの技術展開も含め、環境負荷低減への貢献を目指していきます。

※1 高炉スラグ微粉末を混合したセメント。JIS規格の高炉セメントは高炉スラグ微粉末の使用率により以下の3種に分類される。
 A種・・・5%を超え30%以下
 B種・・・30%を超え60%以下
 C種・・・60%を超え70%以下

以上

ニュースリリースについてのお問い合わせ

〒100-8521 東京都千代田区内幸町二丁目1番1号 飯野ビルディング12F

UBE三菱セメント株式会社 総務部広報室