サーキュラーエコノミー
1.課題認識・取組姿勢
当社は、廃棄物をセメント原料や熱エネルギーとして有効活用することを、資源循環型社会の実現に向けた重要な事業的役割と位置づけています。資源制約や環境負荷低減への要請が高まる中、廃棄物を「処理すべきもの」ではなく「循環可能な資源」として最大限活用することは、社会課題の解決と事業価値の向上を同時に実現する取り組みです。
当社は、廃棄物処理・リサイクル技術の高度化を通じて、サーキュラーエコノミーの推進に貢献するとともに、セメント事業の持続的な成長および競争力の強化を図ります。
2.施策
(1)熱エネルギー廃棄物の処理増加
廃プラスチック、廃油、木くずなどの廃棄物は、セメント製造工程で必要となる熱エネルギーの一部として活用することができます。これにより、石炭などの使用量を削減するとともに、廃棄物の最終処分量の低減にも貢献しています。
特に最近では、自治体から発生する下水汚泥を乾燥させた乾燥汚泥を、バイオマス由来熱エネルギーとして活用を進めており、公共性の高い廃棄物処理と石炭削減の両立に努めています。
今後も、安定した操業と安全性を確保しながら、熱エネルギーとして活用できる廃棄物の処理量拡大を進めていきます。
(2)セメント工場での新廃棄物受入実用化推進
上述の通り、セメント産業は、資源の効率的利用を通じた社会貢献を目的として、早くから廃棄物をセメント原料や熱エネルギー代替物として活用してきました。一方で、近年は、社会構造や産業構造の変化に伴い、廃棄物の種類や性状の多様化が進み、処理難易度や求められる対応水準が高度化しています。
当社では、こうした新たに発生する廃棄物についても分析・前処理技術の開発や設備改良を進め、セメント工場における実用的な受入を推進しています。操業安定性、製品品質、環境安全性を確保したうえで受入可能な廃棄物の範囲を拡大し、社会や産業が抱える資源循環ニーズへ応えます。
(3)新規リサイクル技術(キルンに依存しない技術)の開発と事業化
当社はセメントキルン(焼成炉)によるリサイクルに加え、それに依存しない新たなリサイクル技術の研究開発にも取り組んでいます。
廃棄物の発生量や性状、地域特性は多様であり、全てをセメント工場で処理することが最適とは限りません。そのため、資源循環技術を広げて多様な状況に対応することが重要であると考え、自社技術の高度化だけでなく、大学・研究機関、他業種企業との連携を通じた新たなリサイクル技術の創出を進めています。将来的には社会実装・事業化を目指し、セメント事業の枠を超えた環境ソリューションとして展開することで、地域社会および産業全体における資源循環(サーキュラリティ)の高度化に貢献していきます。
3.目標・KPI
「廃棄物の有効活用」に関する進捗および成果を適切に把握するため、セメント工場への新廃棄物受入の実用化件数や、資源循環に資する新技術の確立、ならびに産学・異業種との連携状況をKPIとして設定し、継続的な改善に取り組みます。
| 施策 | 目標・KPI(2028年度) | 目標値 |
|---|---|---|
| セメント資源化の継続(廃棄物・副産物の有効利用) | セメント1トン当たり使用量 | セメント1トン当たり500㎏以上 |
| セメント工場での新廃棄物受入実用化推進 | 新廃棄物受入に資する分析・前処理技術を確立し、工場へ適用 | 3件 |
| 新規リサイクル技術(キルンに依存しない技術)の開発と事業化 | 資源循環に資する新たなリサイクル技術の開発推進、新技術確立(資源回収・再生材創出・バイオマス利活用等) | 4件 |
| 産学・異業種連携による資源循環技術共創の推進、新規協業 | 2件 |
4.取り組み
当社では、下水汚泥に縦型密閉発酵技術を適用した、高速発酵乾燥技術の実証事業に取り組んでいます。生成した発酵乾燥汚泥は、リンや窒素を含む肥料として、またセメント工場でのエネルギー源としても利用でき、地域・季節・社会情勢によるニーズ変化に柔軟に対応可能です。

石膏ボードは、優れた内装用建材として建築物の壁や天井などに広く使用されています。一方で、建物の解体増加に伴い、廃石膏ボードの排出量は今後大幅な増加が見込まれており、再利用の拡大が必要とされています。
当社では以前より廃石膏ボードを再生石膏化し、セメント系材料として事業利用を進めてきました。近年では更なる廃石膏の利用法として、廃石膏に含まれる硫黄分に着目し、炭素還元による硫化カルシウム製造や、硫黄分除去によるカルシウム源化など、新たな技術開発にも取り組んでいます。


低燃費タイヤ用途を中心に需要が拡大するシリカフィラーについて、当社は石炭灰などの廃棄物からシリカを回収・再利用する技術開発に取り組んでいます。本技術により環境負荷の低減と資源循環の高度化を図るとともに、回収後の残渣をセメント原料として活用することで、ゼロエミッション型のアップサイクルを目指します。


バイオオイルは、木質バイオマスから製造される再生可能な液体燃料として注目されています。当社は、セメント工場において熱分解残渣を有効活用できる特性を活かし、高価な高速加熱に依存しない合理的な製造プロセスの開発に取り組んでいます。本取り組みを通じて、再生可能エネルギーの普及と資源循環型社会の実現を目指します。


